(卒業生全員に贈ったサッカー部文集より抜粋)
『 サッカーとは 』 隠岐 尚武
サッカーは狩りである。
ボールという矢を奪い合い、
ゴールという獲物を射止めるのだ。
なんと原始的な、
なんと神秘的なスポーツであろうか。
平成17(2005)年4月、九中に入学してきた君たちと私は初めて出会いました。
「全国大会出場=ROAD
TO J-VILLAGE」をチーム目標に、君たちは決して目標を見失うことなく、とても充実した活動を続けてき
ました。君たちの練習に取り組む真剣な姿を見ていると、練習中に涙が出そうになる時もありました。
そうして君たちは努力を続け、2年冬の高槻選手権では先輩たちに続き3年連続優勝を果たしました。
また、2年最後のガンバカップでは地元大阪の中体連代表として、予選リーグ1位という結果だけでなく、九州チャンピオンの国見中
に対して互角の試合を展開し、2−2のPK戦の末敗れはしましたが、全国レベルのチームとも何とか戦える手ごたえをつかむこと
ができました。3年では春季三島地区大会と夏の三島地区選手権の両方で4年ぶりに春夏連覇を果たし、全国大会出場に向けて
一歩一歩着実に近づいていましたが、7月26日の大阪府中央大会ベスト8で、東海大仰星中にスコアレスドローの末PK戦で
敗退し、惜しくも目標は達成できませんでした。大阪勢は結局どのチームも全国大会には出場できませんでした。
あんなに悔しい出来事は、長い人生の中でも、そう多くはありません。48年間生きてきた私にとってもそれは同じです。
君たちには、あの悔しさを次の目標へのモチベーションに変えて、少しでも長くサッカーにかかわってほしいと願っています。
卒業していく君たちに忘れてほしくないのは、「チームメートや自分を支えてくれている家族の方の気持ちを考えて行動すること」
ということです。
プロのサッカー選手はいつもサポーターに最大の敬意を払ってプレーしていますが、君たちも、自分と一緒に頑張ってきた
チームメートや、自分を支えてくれる家族の方に対して、常に感謝の気持ちを持ち続けて下さい。
試合が終わった後、保護者の方々に挨拶に行くのも、ベンチに帰ってきて挨拶するのも、自分たちを支えてくれたことへの感謝の
意味が込められているのです。
また、今まで君たちを支えてくれた保護者の方々、指導していただいた田村コーチ・鎌倉コーチ・畑中コーチ、少年サッカーの
指導者の方々や高校の指導者の方々、九中のOBの方々や地域のサポーターの方々、
アドバイスをいただいた他のチームの指導者の方々に対して、常に感謝の気持ちを持ち続けて下さい。
心からそういう気持ちになれた時、初めて君たちは少しずつ大人に近づいていくのです。
スポーツをすることによって、君たちは心も身体もともに成長していくのです。
身体だけでなく、精神面で成長した人こそ、次のステージで活躍できるのです。
君たちの今後の活躍に期待します。
将来のことを少し…。私の教え子の中には、大人になってからサッカーの指導者になっている人が何人もいます。
学校の教員になっている人や、Jリーグの育成年代の指導者や、クラブチームの指導者もいます。
君たちには少しでも長く現役でサッカーを続けていてほしいのですが、現役を引退してからサッカーの指導者の道に進むのも
楽しい ものです。私が九中で感じている感動を、君たちも指導者となって体験してみませんか。
学校の先生そのものも、とてもやりがいのある仕事ですよ。ぜひ将来の進路の選択肢の一つに加えてみて下さい。
卒業していく君たちは、新たな次の目標「ROAD
TO …(…への道)」を決めて、その実現に向かって頑張って下さい。
またいつか九中の練習に顔を出してくれるのを楽しみにしています。
最後になりましたが、保護者の皆様、これまで九中サッカー部を力強く支えていただき、本当にありがとうございました。
保護者の皆様と、卒業していく君たちに、輝かしい未来が待っていることを祈念いたします。
平成20(2008)年 早春 隠岐尚武